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効果的に折込チラシ・ポスティングチラシの反響率、費用対効果を高くするために
折込チラシの反響率は、業界によっては異なりますが、おおよそ0.01%から0.3%というのが通説です。
これは、折込チラシ1万部を配って初めて、1人のお客様が来店する、といった状態です。100枚ポスティングで配って、1件も問い合わせがないのは当然といえるでしょう。
反面、反響率が3%を超えるチラシが存在するのも事実です。この反響率は、チラシを作るにあたって、「見た目」のみではなく、「企画」のデザイン性が優れていたからこそ発生したパーセンテージと言えるでしょう。
デザインとは「見た目を整えること」ではなく「売れるまでの道筋を構成すること」
チラシ一枚でも、作成するとなると驚くほどの値段がかかる場合と、そうでない場合があります。おそらく多くの人が、業者にチラシの作成を依頼するとき、「見た目の良さ」だけで値段を考えると思います。だからこそ「安価に短期に簡単に作れる」と思ってしまう場合も多くあるでしょう。
ビジュアルだけを整えることを前提としたチラシ作成は、A4サイズ片面で5,000円~30,000円。
これに企画という「構成」が入ると、その幅によって大きく変動しますが、おおよそ50,000円~150,000円までが平均値といえます。反響率の高いチラシを打ち出せるノウハウを持っているデザイン事務所や広告業者は、その実績も当然伴うので、両面チラシ1枚に300,000円という価格を打ち出す場合もあります。
例1.分譲住宅6件(1件2,000万円)をすべて売る、ということを目的にした場合のチラシ作り
見込み見学者数1件につき100件として計600件、問い合わせ件数を3倍の1,800件とすると、
反響率0.01%の場合 必要折込数は180,000部(印刷代およそ50万円) デザイン代30,000円 計53万円
反響率0.1%の場合 必要折込数は18,000部(印刷代およそ5万円) デザイン代150,000円 計20万円
業界経験者ではないので安易に見積もりましたが、戸建ての需要を考えたときに、かなり数値はぶれると思われます。
反響率の高いチラシは、「誰に売るか」「その誰はどこに住んでいるのか」「どんな需要に訴えていくか」「何を訴えていくのか」など、ビジュアルよりも前の段階の企画に優れた面を持っています。
上記例で、反響率0.01%の場合の「18万部」という大きな数を、どの範囲に折り込むのか、と考えると、かなり広大な地域に折り込まなければなりません。その分の費用ももちろんかさみます。また、立地の問題でニーズがない、という可能性もあるでしょう。
狭い範囲でも、的確に反響率の高いチラシを出すことができるデザインは、当然調査にも内容の精査にも時間をかけます。その分人件費や調査代が必要になるために、高額になります。
以下は「反響率の高いチラシ」を作るまでに行うフローの一部となります。
目的は「不動産業を営む方々へのレスポンシブWEBデザインの提案」です。
不動産業を営む方々へのレスポンシブWEBデザインの提案の販促チラシ
お客様から情報をいただく
ラフ画だけではなくヒアリングという形で情報を収集する場合もあります。具体的にどのような商材、あるいはコンテンツを販促したいのか、という目的に対し、必要な要素をまとめていきます。
ターゲットを設定
誰にチラシを送りたいのか、という点を掘り下げていきます。
今回のケースはカスタマー=エンドユーザーではありません。カスタマーがエンドユーザーの需要を想定しやすいようにナビゲートする必要があります。
今回のターゲットカスタマーは「不動産業を営んでいる方」というざっくりとした希望がありましたが、これに「地域」「性別」「年齢」「カスタマーがターゲットにするエンドユーザーの年齢層や性別」「カスタマーが理想とするWEBサイトの在り方」「カスタマーがほしいだろう機能」などを設定していきます。
ターゲットを絞るメリット
全ての人に見てもらいたい、というのは、反響率の低下を招く原因となります。
例えば、女性向けに作られた化粧品などを、男性にも応用が利く、という商品利点で、男性をもターゲットに入れてしまうと、その分デザイン的にユニセックスなものにならざるを得ません。これは女性のみをターゲットにしたチラシよりも反響率が落ちてしまいます。商材の特性を理解した上で、より綿密にターゲットを絞ることによって、折込範囲やポスティング範囲を定めることもできます。
ストーリーを作成する
ターゲットに対して、商品をアピールするためのストーリーを作成します。
- 興味を持ってもらう(ニーズに合致した提案)
- 実績を知ってもらう(ニーズを保証する実績掲載)
- 技術力を知ってもらう(実績の具体的な手法など)
- その他オプション(値段やその他サービスなど)
- お問い合わせにつなげる
企画したストーリーの内容に従って、区分したそれぞれをコンテンツの内容を精査します。
必要なデータをそろえる
コンテンツの内容があらかた決まったら、提示するデータを選抜していきます。
1.興味を持ってもらう
商材を得たときに何がベネフィットとなるのか、を明確に打ち出します。また、価格や商材詳細といった、必須項目も併せてここで提示します。写真、テキスト、あるいは数値化されたデータなどを収集します。
2.実績を知ってもらう(ニーズを保証する実績掲載)
具体的に商材をカスタマーが使ったときの実績があるならそれを提示します。信頼性の獲得にもつながります。
3.技術力を知ってもらう(実績の具体的な手法など)
何ができるのか、具体的にどんなことができるのか、などといった詳細を付属させていきます。期待感をあげていく部分です。
4.その他オプション(値段やその他サービスなど)
余白があれば他のコンテンツを検討していきます。
5.お問い合わせにつなげる
店舗の電話番号や住所といったものをまとめていきます。
データとコンテンツをラフとしてまとめる
揃ったデータをもとにラフを作成、赤ペンをいれて見出しなどを整えていきます。この時点でクライアントの希望するキャッチフレーズなどが存在しなかったため、書き起こしています。
商材の混同が起こっていたため、改めてヒアリングをしなおし、何が商材のアピールポイントなのかを抽出しています。さらに追加したいコンテンツがいくつか出てきていたので、こちらも併せてレイアウトを試みます。
まとめたラフに入れた赤を基にもう一度再構成する
データが非常に多く、「何を読んだらいいのか」がわからない状態になってしまったため、最低限必要なデータを取り出す作業を行います。その際、いくつかその場でラフを描きながら、具体的にどのようなレイアウトが見やすいか、伝わりやすいかの提案を行いました。
情報量は多ければよい、というわけではない
みっしりと文字の詰まったチラシをすべて読んでくれるお客様は、非常に少ないものです。わかりやすく、ポイントを押さえて、墨から隅まで読まずとも理解でき、興味を持てる、というのが理想的な「チラシ」です。(もちろん「読ませる」ことに特化してチラシを作成することも可能ではありますが、多くの場合はそうではないでしょう)
チラシやDMといった販促物は、あくまで営業の入り口に過ぎません。ターゲットに合わせて情報量は綿密にコントロールしたほうがいいでしょう。
ラフデザイン提出その1
クライアントの希望で作成したラフでも情報量が多かったため、情報を削って「伝えたいこと」のブラッシュアップを行っています。紙面上でアピールできる数、ユーザーが見やすい数などをご説明したうえで、最終的にコンテンツをかなり絞りました。
ラフデザイン提出その2
おおまかなデザインを一案、ここで提出しました。ブラッシュアップしてベネフィットが押し出されたコンテンツを基に、さらに入れたい情報や、伝えたいことのブラッシュアップを行います。
この状態で形がほぼほぼ浮き彫りになりましたが、ここからさらに「何を伝えたいのか」「どんなニーズに応えていくのか」の追求をしていきます。「データの正しさ」「情報の正しさ」なども併せて確認していきます。
素案の完成
この状態でようやっと素案の完成となります。
※通常チラシデザインを業者にお願いした場合の金額(5,000~30,000円価格)は、ここからスタートすることが非常に多いです。
素案はクライアントがテキスト、写真、イラストといった素材をすべてそろえた上で整います。多少紙面上のデザインにおいて、写真の選択や色、レイアウトなどの提案がある場合は割高になりますが、低価格ともなれば「すべての要素・素材が揃っていること」が前提となり、そろえるところを依頼する場合は別料金になる場合が大半です。
印刷に必要な画像の解像度の知識や、ライティングの知識がない場合は、多少割高でもきちんとサポートしてくれる業者に依頼することをおすすめします。
デザインの第一校提出
素案に色を付けたり装飾したり、フォントを整えたりしてデザインを起こしていきます。
ストーリーに齟齬が生まれないように、情報を加えたり整理したりを繰り返します。ベネフィットを明確に提示し、より「アピールポイント」に注目してもらえるようにリデザインします。
デザインの第二校提出
写真よりも大切な情報を載せたい、というご希望に合わせて、大きく半面のレイアウトを変更しました。「売りたい内容」の訴求力を強めるために、わかりやすい図解をプラスしています。
細かな修正と見直し
テキストの誤字脱字、言い回しから、フォントウェイトの変更、字間なども細かくチェックしていきます。
完成
チラシではありませんが、こちらはA4サイズの大型DMとして少部数を展開し、5/26現在の反響率は約0.58%となっています。
一般的に言われている反響率である0.01~0.3%よりも高い数値を出すことができて一安心しております。
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