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Photoshopのオーバーレイをもっと深く考えてみる
以前こちらの記事で
>【Photoshop】レイヤーの描画モードにあるオーバーレイって何?
オーバーレイは魔法の描画モードなのです、と言っておりました。
実際写真加工やイラスト編集などをしていると、オーバーレイというのは本当に魔法のような機能で、CLIP STUDIO PAINTやIllust Studio、SAIなどのお絵かきソフトでも必ずと言っていいほど搭載されている機能です。
が、実際のところこいつの機能をきちんと把握して使ってらっさる方は結構少ないんですね。
設定の仕方や適応の仕方は結構あちこちで説明されているのですが、もう少し詳しくオーバーレイというものについて考えてみようと思います。
今回のブログの見出しはコチラです!
オーバーレイとは「乗算」と「スクリーン」を組み合わせた機能である
だいたいどのソフトでもオーバーレイは「乗算」と「スクリーン」を組み合わせた機能である、と説明されます。
じゃあ何に対して「乗算」して何に対して「スクリーン」するの? 結果どうなるの? ってとこなんですが、その前に前提としてこの仕組みを理解するには必要な知識がいくつかあります。
「基本色」と「合成色」の定義
基本色
レイヤーに乗せられた色のことです。写真であれば、ファイルを開いた時点の背景レイヤー、イラストであればブラシで色を乗せたレイヤー、とにもかくにも「加工対象」であるレイヤーにのっている色のことを「基本色」といいます。
合成色
加工対象であるレイヤーに対して、加工要素を持っているレイヤーにのっている色のことです。基本色ののっているレイヤーの上に大概は配置されます。
描画モードの切り替えにより、加工要素を持つレイヤーは下の加工対象のレイヤーに影響を及ぼします。このとき影響を及ぼす側の色を「合成色」といいます。
基本色はケーキのスポンジみたいなもので、合成色はデコレーション用のいちごとかチョコレートとかそんな感じです。油絵を描くときのカンバスが基本色、上に乗せる色が合成色、という言い方もできます。
「RGB」と「CMYK」と色の「混合」
RGBとCMYKの違いについてはこちらで
>WEBサイトの色や配色を決めるときに役に立つWEBサービス5選
一度記事を書きましたが、改めて簡単に言うと、
RGB
光の三原色。レッド・グリーン・ブルーの頭文字をとってRGB。全部混ぜると白になります。
CMYK
物理的に存在する色。シアン・マゼンダ・イエロー・ブラックの頭文字や末文字を引っ張ってCMYK。全部混ぜると黒になります。
今回覚えていただきたいところは
- RGBは全部混ぜると白になる=カラーバーの数値がMAXだと白になる
- CMYKは全部混ぜると黒になる=カラーバーの数値がゼロだと白になる
ということです。もっと言い方を変えると、
- RGBは全部混ぜると白になる=カラーバーの数値が高いものがハイライトの扱いになる
- CMYKは全部混ぜると黒になる=カラーバーの数値が低いものだとハイライトの扱いになる
という逆の性質を帯びるということです。
「シャドウ」と「ハイライト」とは
上記のRGBとCMYKの特性から、
- RGB=「合計数値の高い色がハイライトとしての特性が強く、低い色がシャドウとしての特性が強い」
- CMYK=「合計数値の低い色がハイライトとしての特性が高く、高い色がシャドウとしての特性が強い」
ということです。
オーバーレイの「乗算」と「スクリーン」が適応される範囲
じゃあ結局オーバーレイの乗算ってどこにかかって、スクリーンってどこにかかるの? ということにお答えすると、計算式を出さなければならなくなります。
すっごい詳しく説明していただけているのがこちらのサイトさま。
>Photoshopの描画モード(ブレンドモード)を理解するための、画像合成は計算だという話 | 俺CG屋
「乗算」と「スクリーン」の機能を同時に扱えるオーバーレイは、「コントラストをあげる機能」を持っている、と言い換えることができます。
でもそれだけなら調整レイヤーでトーンカーブでS字つくっときゃなんとかなるんです。あとほかにもいろいろ調整レイヤーでコントラストなんかいくらでもあげられますからね。
オーバーレイを使うメリットは「色を使える」という点になります。(誤解がないように言うと、トーンカーブでも色味をつけることは大いに可能で、これ一本あれば大概のことはできちゃうのですが、今回は割愛)
オーバーレイを使った色彩を加えたコントラストの表現をいくつかご紹介。
まず原本がコチラ。右下にあるカラーがオーバーレイ100%の合成色です。
オーバーレイの特徴の一つとして「輪郭がかすまない」というのは取り上げられるべきところかと思います。ホワイトや高いハイライトでスクリーンをかけたときほどラインが消えないのは、オーバーレイの「暗い部分を乗算する」機能のおかげです。
また、ブレンドモードの「カラー」や「色彩」、調整レイヤーの「色相」からカラーの統一などの機能を使わずとも、たやすく画面全体に「色味」が持たせられるのも特徴です。
次にコチラ。同じく右下にあるカラーがオーバーレイ100%の合成色です。
わずかな色味の変化でもずいぶん異なる表情を持たせることができます。うまくやれば朝昼晩に異次元と、一枚の写真で数多くのバリエーションを持たせることができます。
もちろんレイヤー一面に同じ色、ではなく、グラデーションを使ったり、ブラシツールでピンポイントに別の色をオーバーレイさせることもできます。細やかな変化が可能なのは、感性の自由度の高いPhotoshopのレイヤー機能ならではですね。
画面上の空気や統一感を出したいとき、コントラストの微細な変化を出したいとき、オーバーレイはやっぱり魔法じみた効果を出してくれます。
……といっても、私どっちかってゆうとトーンカーブ派なので、オーバーレイってあんまり使わないんですけどね……絵を描く人には結構重宝される機能だって、偉い人が言っていた気がします。
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