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【Photoshop】モノクロの魅力と美しい白黒写真の作り方
白黒映画の女優さんの口紅は、今だとあきれるくらいドギツイ赤か黒リップだったというお話があります。某映画では赤い椿を表現するために椿を黒く塗った、なんて逸話も存在します。
白黒映画の照明は基本太陽光で、まあ、もう、それだけでいろいろお察しなくらい大変な撮影現場だっただろうと思うのですが、白黒映画って魅力的ですよねぇ。
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モノクロが人に与える視覚的効果とは
色彩情報が一切ない状態を白黒と言います。つまり、ここでの白と黒は色ではない、ということです。「白い絵の具も黒い絵の具もあるじゃん!」ということもありますので、あえて「ここでは白も黒も色じゃないんだよー」って言います。
じゃあなんなんだよ、って言われたら「光」と「影」という回答が一番しっくりです。
浮世絵から派生して漫画に親しんでいる我々日本人は、すべてのものの中に「線」を見るのですが、西洋のほうではそういった文化がなく、色の濃淡ですべてを表現していました。向こうの人々が浮世絵にハマったのは19世紀の仏万博あたりからですが、日本人の「光」と「影」の間を見極める目は至極面白いものと思っています。
この光と影のあわいにはこの世ならざるものが棲みやすい、とか言われる傾向もあって、墨文化だった日本は、カラーの油絵文化の西欧よりも「美しい白と黒の対比」に反応しやすいんですね。
白黒写真やモノクロ映画が「ノスタルジックだ」「昔のような」あるいは「ちょっと怖い」なんて言われるのはこのあたりが結構根幹です。もちろん、写真技術のスタートが白黒写真だったから、ということもあるのでしょうが、日本人の光と影を見極める能力というのは結構高いんじゃないかと個人的には思っています。
白黒写真のよさは「光と影」つまり「明暗」で決まる
フルカラーの写真でも、必ず「明暗」つまり「明度」が存在します。写真内における明度の差が大きければ大きいほど、白黒写真は美しいものが多いです。(個人の感性によりますが、何せ当方ビビット&バリット、が大好きな人間でして)
実は白黒写真だけでなく、フルカラーの写真でも「明暗がくっきりしている」=「明度の差が大きい」ものは実にはっきりくっきり見えます。明度の差が大きい、ということは、光と影の差がはっきりしているということで、これは物の形を強調します。
形の強調されたものは人にとって明瞭さとなります。印象深い白黒写真はこの明瞭さゆえに心に残りやすいと言えなくもないですね。
Photoshopで加工してつくる白黒写真
いくつか方法がありますが、ただ調整レイヤーで彩度を落としただけだとまったくもって味気ない写真になります。彩度だけ落とすとこんな感じ。
「明度」によって良しあしが変わるのであれば、この明度をコントロールしていきましょう。例えばフルカラーのままコントラストを上げて、これの彩度を引っこ抜くとこんな感じ。
明度を変化させてみる、というポイントさえ押さえれば、やり方っていろいろあるんですね。
白黒調整レイヤーを使用した加工のポイント
上記の大半をまるっとやってくれるのが白黒調整レイヤーです。適応させるとこんな画面になります。
ベースとなるカラーは水の色と金魚の赤。このうち、金魚の赤をより暗く、水の揺らめきをより白くします。応じてカラーバーをコントロールしてみてください。こんな感じ。
だいぶ雰囲気変わりましたね。
これに広告業界お得意の一色サシ色、なんてことをやるとこんな感じ。
もうちょっと頑張って奇麗にするとこんな感じ。
もう少し頑張りましょう、な加工ですが、単に適応した調整レイヤーにマスクをかけただけなので、誰でもできちゃいますね。
「マスクってなんだよ!」って方もいらっしゃるかと思いますが、それはまた今度。ちなみに色を乗せるだけなら、オーバーレイか覆い焼き、スクリーンでこんなこともできます。
ちなみに「赤」と「黒」の相性はすこぶるよく、白黒映画の時代には艶やかで鮮やかな赤を出すためによく黒が使われたそうです。なので、白黒写真に一筋の赤、というのもやっぱり似合うのですね。もちろん、赤だけにとどまりません。プレミアムモルツのCMの鮮やかな金と青を目立たせるための「モノトーン」は、毎回早くおうちかえってビール飲みたい症候群にさせますね。
ちなみにこんなやり方も。
黒のエッジを生かしたい場合はこちらもすごい綺麗ですが、グレースケールを生かしたい場合はちょっと不向きかもしれません。
加工でどうにかなるとしても、白黒写真の「モト」も大事。
そもそもPhotoshopによる写真加工は、もとの写真がそこそこいいことが条件です。いくらPhotoshopでもボケた写真を商品撮影されたような形でくっきりさせることはできませんし、向こう向いている人をこっち向かせる、なんて魔法もできません。(意外とこれをわかってくれない人は多いのです)
白黒写真を広告などで使うメリットは「形の強調」「物の強調」にあります。商品の形や、訴えたい絵面の形、その光と影、色彩情報を排除してなお訴えられる「自信」の意味も含まれます。逆に言えば自信がないなら白黒はやめとけ、ってことですね。
あと、あれ、なんだ。かっこいいじゃないですか、白黒って。
そういうシンプルなの、大事ですよ。ええ。
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